2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

稲葉、ギブスの熱力学と統計力学

以下では読んでよかった作品を少し紹介して行きます。 稲葉肇、「ギブスの熱力学と統計力学 物理化学の視点から」、『科学史研究』、第49巻、2010年、1-10頁。 アメリカ人の物理学者であるジョサイア・ウィラード・ギブスは19世紀に熱力学と統計力学を完成さ…

科学史研究 第49巻 No. 253 2010年

『科学史研究』の最新号が届きました。今回は力作揃いの充実した内容です! 論文 ギブスの熱力学と統計力学 物理化学の視点から 稲葉肇 津田梅子と生物学 科学史とジェンダーの視点から 古川安 科学史入門 NASAとアポロ計画 佐藤靖 シンポジウム 実験装置を…

世界霊魂研究その38 手直しと目次

今日は基本的に本文を見直ししたり、抜けている文献情報を補っていたりしました。とりあえずこの章についてはこのあたりでいいとして次に進むことになりそうです。 World Soul 世界霊魂 1. Introduction 序文 2. Cardano's Theory of the World Soul カルダ…

世界霊魂研究その37 初稿完成

序文を書きました。これでようやくこの章のピースがそろったことになります。結局3月いっぱいかかってしまうとは…。スカリゲルをまとめるだけでは済まず、カルダーノの理論にまで深く入っていってしまったのが長い時間がかかった原因です。

世界霊魂研究その36 結論を書き終える

ようやく結論を書き終えました。基本的な流れとしては、カルダーノとスカリゲルのあいだの論争の収束の次第を述べ、その後中心的な争点の開設とその歴史的な位置づけを行っています。一応の味噌としては、世界霊魂に関する論争であるにもかかわらず、実は中…

Paire, Cardano, De subtilitate, 1巻から4巻のフランス語訳

「ジロラモ・カルダーノの『精妙さについて』の最初の4巻の校訂、翻訳、注解」 Maïlis Paire, "Édition traduite et commentée des quatre premiers livres du "De subtilitate" de Jérôme Cardan," (PhD. diss. University Lyon III, 2004). 頼んでいたもの…

歴史哲学ワークショップに行ってきた

更新が滞っていますけど… 先日は歴史哲学に関するワークショップに行ってきました。最初の挨拶とその後の2つの発表を聞きました。宇宙論と終末論の関係、ヘルダーリンの詩の主題としての翻訳者、アリストテレス『詩学』のスプーダイオス解釈。しかし残念なが…

寝不足

今日は昨晩事情があってあまり寝られなかった(別に寝られなかったわけでなく物理的に睡眠時間をあまり確保できなかった)ので、かなり朝から眠かったです。でもまあなんとかがんばって論文の手直しをしました。あとは本論で直すべきところはアリストテレス…

お詫びしながら本屋に走ってくださいというお願い

最後に、大事なことをひとつお伝えしなければなりません。『ミクロコスモス 第1集』は現在「版元在庫僅少」で、早ければ月内に、一時的な「版元品切」状態になる可能性が高いです。しかし「市場在庫」(書店店頭に置いてある状態のこと)はまだあちこちにあ…

久々に更新

今日は午前中に一仕事した後に、午後id:Freitagさんにくっついて、出版社の方にお会いしました。私はくっついていただけで特に何もしていません。 その後は18時くらいから23時くらいまで食べたり飲んだりしながらいろいろと二人で話しました。途中からはつの…

渋谷ブックファーストの『ミクロコスモス』続報

先日の日記で、ブックファースト渋谷店には『ミクロコスモス』はもう2冊しか残っていないので、欲しい人は急いでください、と書きました。 そこで本日あれからどうなったのかなと思って再び渋谷店を訪れたわけです。1冊くらい減っているかな?それとも2冊と…

研究会に行ってきました

今日は東海大学で開催された研究会に参加しました。「デカルトにおける説得と論証およびその人文主義的起源に関する研究」という科研費プロジェクトの一環として行われているものです。声をかけてくれた東慎一郎氏に感謝。 3つ行われた発表はどれも興味深い…

東、16世紀スコラ主義自然哲学と無規定量概念

東慎一郎、「16世紀スコラ主義自然哲学と無規定量概念」、『科学史研究』、No. 222、2002年、98-101頁。CiNii 表題が難しそうというあまりにひどい理由でこれまで読んでいなかった自分が恥ずかしい。これはすばらしい論考です。たとえばフランシス・ベーコン…

「こんな宝を放っておいて,みんな何やってるの?」 ヘレニズム哲学からの『ミクロコスモス』

ΑΤΑΚΤΑ それにしても,「徴」とか「精気」とか,扱われている主題の多くは古代哲学にもそのまま通じるはずなのに,(少なくとも日本の)古代哲学研究者の中でこういう主題をきちんと論じられる人は,残念ながらごく限られるのではないか(情けないことに私に…

世界霊魂研究その35 カルダーノ、能動知性、世界霊魂

カルダーノは世界霊魂が一つしかないということを正当化するために、テオフラストス、テミスティオス、アヴェロエスの名前を挙げています。しかし実際にこの3人のアリストテレス主義者の著作中で彼が念頭においている箇所を調べると、そこで主張されているの…

近代の主体意識を崩壊させ、法の枠組みを問い直させ、意思決定の自由が奪われるかもしれない脳科学の時代が迫っている件

脳科学は何を変えるか?作者: 信原幸弘,エクスナレッジ出版社/メーカー: エクスナレッジ発売日: 2010/01/18メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (1件) を見る 脳を知る決定版!あなたの人間観に革命が起きる…! 多数の著名人による対談集&哲学…

ブラックモア、『意識』

意識 (〈1冊でわかる〉シリーズ)作者: スーザン・ブラックモア,筒井晴香,信原幸弘,西堤優出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/19メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 68回この商品を含むブログ (14件) を見る こちらは入門書の翻訳で…

ファンタジーの反射=反省(リフレクション)

知り合いが何人か出席するので一応紹介しておきます。 UTCPワークショップ「ファンタジーの反射=反省(リフレクション)」 | Events | University of Tokyo Center for Philosophy 私たちの時代のリアリティは、第二、第三、いや第nの(反)自然へと多層化…

カルダーノ、『<一>について』

榎本恵美子訳、「G・カルダーノ〈一〉について」、『ルネサンス研究』、II、1995年、168-210頁。 取り寄せて読みました。労作。いまでこそスペイン語訳があるとはいえ、1995年の時点では現代語訳はなかったはずです。にもかかわらず私が原文と対照した限りで…