イスラム科学史を専攻し、現在はカナダのマギル大学で研究員をつとめる三村太郎さん。彼の著作が岩波書店から出されます。題して『天文学の誕生:イスラーム文化の役割』です。発売は8月末ですけど、すでにアマゾンで予約することができます。128頁と読みやすい分量で、1,260円と買いやすい値段となっています。
天文学の誕生――イスラーム文化の役割 (岩波科学ライブラリー)
- 作者: 三村太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/08/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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また岩波書店のサイトにも長文の紹介文が出ています。
この紹介から推測するに、本書の内容は彼の博士論文の前半部分を中心にまとめたものでしょう。三村さんの博士論文は、「アッバース朝でギリシアの学問の受容がなぜ進んだのか」という大きな問いに答えることを目指したものでした。本書にもその成果のエッセンスが盛り込まれていると思います。すでにして古典となった感のあるグタスの『ギリシア思想とアラビア文化』からさらに一歩進みたいかたぜひ手に取ってみてください。
最後に私の手元にある三村作品の一覧を挙げておきます。
- 研究論文など
- 「クーシュヤールの『アストロラーベ書』写本の校訂研究」『哲学・科学史論叢』3巻(2001年)、119-151頁。
- 「イスラーム科学史における『テキスト・クリティーク』という営為」『科学史・科学哲学』16号(2001年)、2-14頁。
- 「イスラム科学史ミニノート 中世イスラーム世界における科学者のアイデンティティーとは」『Aromatopia』vol. 10, n. 5(2001年)、37-39頁。
- 「なぜ我々は0を記し始めたのか?:0の発見をめぐって」『数理科学』2005年11月号、6-10頁。
- 「中世イスラーム世界における論証が在る風景:イブン・ムナッジム,クスター・イブン・ルーカー,フナイン・イブン・イスハーク間往復書簡を中心に」『中世思想研究』47(2005年)、141-156頁。
- 「中世イスラーム世界における『ギリシャ哲学者』の存在意義とは」『理想』683巻(2009年)、146-163頁。
- 「科学はヨーロッパから生まれたのだろうか?」『科学の真理は永遠に不変なのだろうか:サプライズの科学史入門』中根美知代他、ベレ出版、2009年、39-62頁。