宮部みゆき『ソロモンの偽証 第I部』

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

  • 宮部みゆき『ソロモンの偽証 第I部 事件』新潮社、2012年。

 週初めの移動時間に読みはじめ、そのまま今日一日を費やして、ようやく全III部のうちの第I部を読み終えました。冬の学校で中学二年生の生徒が死体で見つかるという事件が、生徒、教師、警官たちにどんな波紋を引き起こすかが丁寧に描かれています。読む者をつかんで離さない魅力のある物語です。いつもの宮部作品と同じく、人物造形が紋切り型だとかいう批判はできるでしょう(読んでいてひしひしと感じる)。しかし本作では『火車』と同じく、物語の中心に位置する人物を描かないという仕掛けにより、平板な人物たちが動く舞台上に不穏な空気を生み出すことに成功しています。ここからどうなるのだろう。あと三分の二も残っているんだけど。いやいくらなんでも長すぎじゃね?