区切られた空間のなかの知識 Ophir and Shapin, “The Place of Knowledge"

  • Adi Ophir and Stevin Shapin, “The Place of Knowledge: A Methodological Survey,” Science in Context 4 (1991): 3–21.

 歴史を超越して存在していて、ただ発見されるのをまっている科学的真理が次第に発見されていく過程を描くものとしての科学史から、科学知識とてその他の知識形態と同じくそれが生みだされる時空間の条件に規定されていることを認める記述への転回が科学史においてあった。このことは現在ひろく認められている。そのような転回について比較的初期に関連文献をサーヴェイした論文を読む。問題とされているのは、知識生産の場所の空間性である。いかなる部屋の仕切りが、またいかなるかたちでの実験室、診療所、監獄の存在が知識生産を規定するかが問われるわけだ。このような視点を提供してきたのは、70年代以降のイギリスを中心とする科学社会学というよりも、デュルケームブルデュー社会学、そしてフーコーの病院・監獄、およびヘテロトピア論であるとされる。また物理的のみならず文化的コードによっても形成される境界(この境界のなかに科学の知識が産出される場所は囲いこまれる;しかし同時にそれは公共的な知を生み出す開かれた場所でもなければならないとされる)について、ゴフマン、ギデンズを引きながら論じている箇所が、参考になるときが来るかもしれない。