「ところでドミニコ会士はアルベルトゥス・マグヌスを火刑に処すべきである」 Maclean, "Heterodoxy in Natural Philosophy and Medicine"

Heterodoxy in Early Modern Science And Religion

Heterodoxy in Early Modern Science And Religion

  • Ian Maclean, "Heterodoxy in Natural Philosophy and Medicine: Pietro Pomponazzi, Guglielmo Gratarolo, Girolamo Cardano," in Heterodoxy in Early Modern Science and Religion, ed. John Brooke and Ian Maclean (Oxford: Oxford University Press, 2005), 1-29.

 16世紀の3人の医学者をあつかった論考である。ピエトロ・ポンポナッツィ(医療は実践しなかったもののパドヴァの医学部で学位を取得していた)、Guglielmo Gratarolo(パドヴァ大学で医学の学位を取得したのに、プロテスタントに転向してバーゼルへ。同地でポンポナッツィの未出版の論考を出版)、そしてジローラモカルダーノがとりあげられる。全体としては、この3名が大なり小なりみな、さまざまな意味での権威に頼るまいとする姿勢を有していたことが論じられる。

 興味深かったのはポンポナッツィからの次の引用。

次のことを記しておかねばならない。アルベルトゥス・マグヌスは信仰と対立することを数多く主張した。だが彼がいうには、彼がそのようなことを論じたのは、自然学が神学と混同されるべきではないからである。というのも、神学は哲学とは別様に主張するからだ。したがって小さき悪魔たるドミニコ会士たちはアルベルトゥスを火刑に処さねばならなかったはずなのだ。(中略)ところが彼らはアルベルトゥスを聖人にしているのである。(Notandum quod Albertus Magnus determinavit plura contra fidem; tamen, inquit, dixit sic, quia phisica non sunt commiscenda cum theologia, quia theologia aliter sentit quam philosophia. Ideo fratres diabulini sancti dominici deberent comburere Albertum...tamen faciunt Albertum sanctum.)。

 「自然の事柄については自然(学)の作法にのっとって(de naturalibus naturaliter)」語ることを望んだ哲学者の言葉である。