理性の自律と挑戦 Paganini, "Early Modern Atheism and Renaissance Philosophy"

  • Gianni Paganini, "Early Modern Atheism and Renaissance Philosophy: The Play of Paratexts in Theophrastus redivivus and Pomponazzi's De immortalitate," Intellectual History Review 26 (2016): 25–31.

 16世紀のピエトロ・ポンポナッツィ『霊魂不滅論』と17世紀の『復活のテオフラストス』(著者不明)を比較する論考を読んだ。両者とも著作本体では、信仰から独立した理性による議論をすすめ、キリスト教の教義に反する結論に達している。だが両者とも付録的な部分では論調を変化させる。ポンポナッツィは信仰は啓示を通じて理性が到達できない真理を与えるという。『復活のテオフラストス』の著者は、本論はすべて神学者によって論駁されるためにあえて書かれたものだと宣言する。とはいえ付録の位置づけは両者で異なっていたと思われる。ポンポナッツィは理性と信仰を切り離して、哲学の自律性を保とうとした。他方『復活のテオフラストス』の著者は、あえていうなら本当に本体部分が反論にさらされるのを望んでいた。本体部分の議論(これを著者はあきらかに真理と考えている)を、神学者への挑戦として提示していたのだ。