マレシウスとヴォエティウスの和解 Eberhardt, Christoph Wittich, "Die Auseinandersetzung mit Samuel Maresius" #4

 

 

  • Kai-Ole Eberhardt, Christoph Wittich (1625-1687): reformierte Theologie unter dem Einfluss von René Descartes (Göttingen: Vandenhoeck & Ruprecht, 2018), 271–273.

 マレシウスがデカルト批判に乗りだした理由の最後のものは、ヴォエティウスとの和解であった。二人は激しく対立していたものの、すでに論争は継続されておらず、またヴォエティウスの影響力も低下しはじめていた。このようななか、『聖書の解釈者としての哲学』が出版され、またアルティングとの論争の中でデカルト・コクツェーウス主義の危険性への認識を深めていたマレシウスは、正統的な神学を防衛するためには、見解の相違には目をつぶってヴォエティウスと和解するのが得策と考えるようになる。こうして両者は1669年に和解したのだった。

 しかしだとすると、69年の春にマレシウスが、デカルト主義者であるヴォルツォーゲンを擁護する文書に署名していることは驚きである。これはおそらく、マレシウスがデカルト主義の神学への適用には強い反発を覚えていても、デカルト本人への敬意を失っていなかったことを要因としている。このため、デカルトに依拠して『聖書の解釈者としての哲学』を論駁しようとしたヴォルツォーゲンの試みを、マレシウスは一定程度評価することになったのだと思われる。とにもかくにも、マレシウスの標的は、デカルト主義の哲学を改革派の神学の内部で濫用しようとする者となる。それがウィティキウスであった。

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