セネカ

Seneca: Agamemnon (Cambridge Classical Texts and Commentaries)

Seneca: Agamemnon (Cambridge Classical Texts and Commentaries)

 春休みに(まだ春休みなんてものがある!)ラテン語読書会を開催します。その題材の一つにセネカの悲劇『アガメムノン』がありまして…。
 で、その予習をこつこつはじめました。といっても上で上げたタラントの手になる注釈書はあまりにパラレルだらけな上に、そのパラレルがドラコンティウスとかから引いてあって、まじめに読み出すとぜんぜん進みません*1。というわけであんまり注釈書の方はまじめに読んでいません。
 あ、でも悪い注釈書ではないと思います。なぜその写本の読みをとったとか、どうしてそのような修正(文献学ではconjectureのことをなんていうんでしたっけ?)ほどこしたのかとかいうことについて、タラントが書いている理由は簡潔でわかりやすいです(他の人もまねしてほしい)。
 セネカの悲劇については、全作品ちゃんとした翻訳が出ています。
セネカ悲劇集〈1〉 (西洋古典叢書)

セネカ悲劇集〈1〉 (西洋古典叢書)

 
 『アガメムノン』に関しては、大西英文氏が訳しています。いい訳だと思います。最近の訳は昔の訳みたいに日本語としてなんかすごいということはないですけど*2、だいたい正確ですよね(この分野に限って言えば)。
 中務哲郎氏(京都大学教授)が、訳は正確になり、注は充実した。でも日本語としての質は落ちた、みたいなことを書いていた記憶があります。

 ところで、セネカについては、『書簡集』の方をもう少し古典学者たちには研究して欲しいんですけどねぇ…。そろそろ悲劇はネタ切れのような…。

*1:いや、ドラコンティウスからばかりではないです。例によって誇張です。でも連続してドラコンティウスから引いてあるところがあったので印象に残りました。

*2:なんといっても呉茂一…。