2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

フィリーの朝の風景

ただいまフィリーの朝です。四人でゆっくり過ごしております。ここに到着して以来私はまさに借りてきた猫よろしく、仲間のウォルターと一緒に猫的な日常を送っています。一ヶ月もいれば完全に猫として風景の一部になれそう。 しかし猫のいる生活はいいですね…

ベーコン研究その17 - 論文出版の見通し

科学史研究に投稿した論文が出版されることになりました。八月投稿のものなのでずいぶん審査がスムーズに進んだことになります。原稿を丁寧にみてくれたかもさんとnさんに感謝。詳しいことはまたのちほど。

世界霊魂研究その5 カルダーノ

一般的にカルダーノは『精妙さについて』の中で世界霊魂の学説を支持したと言われています。しかしよく見てみると、世界霊魂の学説が本格的に論じられているのはDe arcanis aeternitatisという著作です。しかも偽ディオニッシウスに依拠して展開される同書の…

世界霊魂研究その6 メランヒトンとスカリゲル

スカリゲルがイデア論を批判するときに、近年の著作家の解釈として「プラトンのイデアを illustres notitiae と理解する」というものを紹介しています。この時彼はいつものようにその人物の名前を具体的に述べることはしていません。しかしその箇所のマージ…

Cao, Pico

『懐疑主義と正統派信仰 セクストゥス・エンピリクスの読者としてのジャンフランチェスコ・ピコ』 Cao, Gian Mario. Scepticism and Orthodoxy: Gianfrancesco Pico as a Reader of Sextus Empiricus. Pisa: Serra, 2007. 査読者に読むように言われたので苦…

東野圭吾『新参者』『どちらかが彼女を殺した』;小林多喜二『蟹工船』

移動中の電車の中などで次の本を読みました。新参者作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/18メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 153回この商品を含むブログ (225件) を見る いまいち盛り上がりに欠けます。この場所を舞台にこれからも続…

世界霊魂論研究その4 - 整理

整理というより思いついたことをの殴り書きです。 スカリゲルは世界が魂を持つことは認めます。しかし彼はプラトン主義者の想定する世界霊魂の存在は認めません。世界霊魂論を否定する際に、彼は幾つかの論点を立てています。それらの論点を大雑把に整理する…

国際マンガミュージアム、エスター、夜は短し歩けよ乙女

〔以下では『エスター』という映画について「物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています」。〕 火曜日に京都大学で発表をすることになっているので、ただいま滋賀県の実家に帰省しております。ちょうど同じ時期に友人が関西方面に出張というこ…

エピクロス主義関係の新刊2点

WILSON : EPICUREANISM作者: Catherine Wilson出版社/メーカー: Oxford University Press (Japan) Ltd.発売日: 2008/06/06メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る あまり学ぶべき点はありませんでした。著者は17世紀の前半には関心がない…

世界霊魂研究その4 - イアンブリコスのデミウルゴス理論

Karl Friedrich Hermann, ed., Platonis dialogi secundum Thrasylli tetralogias dispositi (Leipzig: Teubner, 1873), 249 (Greek) = Michael J. B. Allen, Icastes: Marsilio Ficino's Interpretation of Plato's Sophist (Berkeley: California Universi…

世界霊魂研究その3 - デミウルゴスと世界霊魂

「プラトンの『政治家』におけるデミウルゴスと世界霊魂」 T. M. Robinson, "Demiurge and World Soul in Plato's Politics," American Journal of Philology 88 (1967): 57-66. プラトンがデミウルゴスと世界霊魂の関係についてどう考えていたのかを知りた…

BNFのリンク集

BnF - Les Signets de la BnF se transforment 友人から教えてもらいました。BNFが運営しているリンク集です。これはすばらしい。

キリスト教哲学者による異教の韻文解釈

伊藤博明「詩と哲学 地中海文化圏からの視座」『岩波講座 哲学14 哲学史の哲学』岩波書店、2009年、197-230頁。 キリスト教哲学者たちが古代の韻文作品に対してどのように神学的意味を読み込んだのかを解説した論文です。時代的には古代アレクサンドリアでの…

世界霊魂研究 - 発見?

今日はスカリゲルのプラトン主義解説のソースについてなかなか面白い発見をした気がしています。いくら直接プロクロスを探しても見つからないわけだ。結論を出すためには Michael J. B. Allen, Icastes: Marsilio Ficino's Interpretation of Plato's Sophis…

図書購入決定

先日紹介した『ケンブリッジ版エピクロス主義必携』とウィルソンの『近代性の起源におけるエピクロス主義』を指導教員に頼んだところ、早速にも購入してもらえることになりました。一方 Lohr の『ラテンアリストテレス注解 二次文献案内』は適当な本屋で見つ…

世界霊魂研究その1 - スカリゲルとシュペリング

博士論文の第2章の仕込みのために、世界霊魂の勉強をはじめました。なぜこんなことをはじめるかというと、発生や混交やミニマについて調べてみると、やはり世界の上の方で何が起こっているかを先に理解しないことには、世界の下の方で何が起こっているのかは…

専門外の人に話すときの心構え

医学史研究会での発表は無事終わりました。 8月に用意した原稿は難しすぎると言われたので、削りに削って議論の骨子だけを残しました。あとはイントロに手を加えて、どうして自分がこのテーマをやるのかという説明に発表全体の半分を費やしました。 結果とし…

Fruton, Fermentation

Fermentation: Vital or Chemical Process? (History of Science and Medicine Library)作者: Joseph S. Fruton出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2006/11/15メディア: ハードカバー クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 発酵について…