2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中世における可能知性単一説批判

『ミクロコスモス』の論考準備の一環として、トマス・アクィナスによる可能知性単一説反駁を扱った論文を読みました。 水田英実「可能知性単一説に対するトマスの論駁」『福井大学教育学部紀要 第I部 人文科学(哲学編)』第36号(1987年)、1-25頁。 http:/…

カルダーノの知性論、霊魂論における光の比喩

今日はカルダーノ『霊魂の不死性について』の第13章を読んでいました。 カルダーノによれば神から力が発して、それが天を通って地上までたどり着いています。この力は「精神mens」とも呼ばれ、光にたとえられています。たとえば人間の場合この精神が体の形相…

ここまでの調査 カルダーノのアヴェロエス、テミスティオス、テオフラストス解釈について

カルダーノ「アヴェロエス、テミスティオス、テオフラストスは霊魂は不死で一つだと言っている」→これはテミスティオスの知性論(そこでテオフラストスも引かれている)を霊魂論としてカルダーノが解釈しているんだな。→いやテミスティオスとテオフラストス…

古代新プラトン主義の概説

哲学の歴史〈第2巻〉帝国と賢者 古代2作者: 内山勝利出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (16件) を見る 本書に収録されている山口義久「プロティノスと新プラトン主義」を読みました…

アマゾンイタリアが開店!

Amazon.it: elettronica, libri, musica, fashion, videogiochi, DVD e tanto altro ついにアマゾンイタリアが開設されました。これまであまりの郵送費の高さに買うのが難しかったイタリア語の本がついに気軽に手に入れられるようになりました。試しにヒロさ…

ヴェルニアとニフォの宇宙論

Edward P. Mahoney, "Philosophy and Science in Nicoletto Vernia and Agostino Nifo," Scienza e filosofia all'Universit〓 di Padova nel Quattrocento, ed. Antonino Poppi (Trieste: Edizioni Lint, 1983), 135-203. マホーニィの続き。これまた長尺の…

鈴木『古代末期禁欲論とエヴァグリオス』

古代末期禁欲論とエヴァグリオス作者: 鈴木順出版社/メーカー: リトン発売日: 2010/01メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログを見る 2009年1月に亡くなった鈴木順さんの遺稿をあつめ一冊としたものです。今日書店で目にするまでこのような本が…

ルネサンスイタリアのアリストテレス主義と新プラトン主義

Edward P. Mahoney, "Agostino Nifo and Neoplatonism," in Il neoplatonismo nel Rinascimento, ed. Pietro Prini (Rome, 1993), 205-231 [reprinted in Mahoney, Two Aristotelians of the Italian Renaissance: Nicollo Vernia and Agostino Nifo (Alders…

ルネサンスのプラトンとアリストテレス

マホーニィの論文集を読んでいます。連続して読むと金太郎飴みたいに同じことが書いてありますな。 「アゴスティノ・ニフォの主張におけるプラトンとアリストテレス」 Edward P. Mahoney, "Plato and Aristotle in the Thought of Agostino Nifo (ca. 1470-1…

新刊案内 - ガレノス、ルペシッサのヨハネス、ボイル

Galen and the World of Knowledge (Greek Culture in the Roman World)作者: Christopher Gill,Tim Whitmarsh,John Wilkins出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2009/12/10メディア: ハードカバー クリック: 3回この商品を含むブログ (4件)…

書評を書き終える

ステヴィンを扱った次の研究書の書評を書き終えました。科学革命の先駆者シモン・ステヴィン―不思議にして不思議にあらず (科学史ライブラリー)作者: ヨーゼフ・T.デヴレーゼ,ヒード・ファンデンベルヘ,山本義隆,中澤聡出版社/メーカー: 朝倉書店発売日: 200…

Suzuki, 兵頭晶子『精神病の日本近代』書評

Akihito Suzuki, "Review of Hyôdô Akiko 兵頭晶子, Seishinbyô no Nihon kindai: tsuku shinshin kara yamu shinshin e 精神病の日本近代 : 憑く心身から病む心身へ (Mental Disease and Japanese Modernity: From the Possessed Mind/Body to the Diseased…

辻「イスラーイーリーヤート理解」

辻圭秋「S. D. Goiteinのイスラーイーリーヤート理解:一神教研究の観点から」『一神教世界』1号(2009年)、15-26頁。 雑誌のWebcat情報 著者の辻さんから抜き刷りをもらいました。ありがとうございます。内容的には独自の調査に基づく研究というよりも、あ…

何もしていない

今日は朝起きてからほとんど何もしていません。明日クィンティリアヌスの翻訳検討会があるからその準備を少ししようかな。The Orator's Education, Volume III: Books 6-8 (Loeb Classical Library)作者: Quintilian,Donald A. Russell出版社/メーカー: Harv…

モントリオールから帰ってきました

たったいまモントリオールから自宅へと帰ってきました。やはり長時間のフライトはこたえる。感想などは明日以降書くとして今日はゆっくり休もうと思います。

初期近代のコスモグラフィー

Archives Internationales d'Histoire des Sciences 59/2-163, 2009 Archives Internationales d'Histoire des Sciences誌の2009年第2号で「初期近代のコスモグラフィー」の特集が組まれています。注文しました。 この雑誌はロシア語での投稿も受け付けてい…

オランダ科学史 - Jorink, Reading the Book of Nature in the Dutch Golden Age, 1575-1715

Reading the Book of Nature in the Dutch Golden Age, 1575-1715 (Brill's Studies in Itellectual History)作者: Eric Jorink,Peter Mason出版社/メーカー: Brill Academic Pub発売日: 2010/10/01メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブロ…

ESMを購読しよう

ヒロさんがEarly Science and Medicine誌の副編集長となりました。これを機会に購読を始めようと思います。すでに取っていて当然のものなので何をいまさらという感じなのですけど。 新たな編集員を迎えて、これからますます面白くなるであろうESM、皆さんも…

明日からモントリオール

明日モントリオールに出発します。移動費を部分的に出してもらうためにはアメリカの航空会社を使わないといけないという条件があったので、ユナイテッド航空を使ってワシントン経由でモントリオールに入ることになっています。 しかし最大の問題は気温です。…

Mahoney, Lovejoy and the Hierarchy of Being

Edward P. Mahoney, "Lovejoy and the Hierarchy of Being," Journal of the History of Ideas 48 (1987): 211-30. すべての存在が階層的な系列を成しているという考えが古代以来あります。この問題を論じた古典的な研究がラブジョイによる『存在の大いなる…