ケプラーのテュービンゲン

 16世紀にテュービンゲン大学で教えていた人物について調べ、そのケプラーへの影響を探った本です。いい研究だと思います。

 以下少しメモを思いつきなども含めて。

  • シェキウスはケプラーを教えた教師たちのほぼすべてをかつて教えていた。具体的にはSamuel Heiland, Veit Müller, Andreas Planer, Georg Liebler, Michael Maestlinをシェキウスは教えた。
  • シェキウスは天文学における仮説の位置づけについてラムスと論争を行っている。ケプラーの『新天文学』の序文には、天文学における仮説の意義を否定するラムスに対する見解が記されている。ケプラーは二人のあいだの論争を知っていたのか?
  • シェキウスの弟子のLieblerはエウクレイデスの証明の厳密さをすべての学問に持ち込んだシェキウスの態度を賞賛している。Lieblerは1552年から1594年までテュービンゲン大学のFaculty of Artsで自然学の講義を行っていた。ケプラーが大学に入ったのは89年。
  • Jacob Heerbrandは神の存在が自然という書物の探求を通じて証明されると考えた。自然という書物という考えをケプラーが用いるのは、Heerbrandの影響だと考えられる。
  • メランヒトン天文学幾何学者としての神を理解するための方法だと考えていた。〔ほんとうに?〕
  • Kusukawaの本からメランヒトンの哲学を理解するのはいいとして、それを16世紀ルター主義者たちの自然哲学全体に適用するのは無理がある。