ドラコンティウス

 マスターからドラコンティウスをやるようにという指示が下りました。でもドラコンティウスって誰ですか?

5 世紀後半から 6 世紀にかけてのキリスト教作家には,シンマクスの後継者といえるほどの技巧派の修辞家シドニウス・アポリナリス,キリスト教と世俗の両方のテーマを歌った詩人ドラコンティウスDracontius,古典の教養を顕示した演説家エンノディウスEnnodius,最後の詩人ウェナンティウス・フォルトゥナトゥスVenantius Fortunatus, 《フランク史》の著者トゥールのグレゴリウス,教皇グレゴリウス 1 世などがいる。

という記述がネット上に落っこちていました。とりあえず日本語で手に入れることのできるのはここまでですかね。

http://www.newadvent.org/cathen/05153a.htm

http://en.wikipedia.org/wiki/Dracontius
(例によってwikipedia

英語ですけど、一応ここで基本的な情報を得ることができます。

ドラコンティウス
 5世紀の詩人で、キリスト教関係の詩と世俗的な詩の両方を書いた。
 カルタゴの名家に生まれて、遺産と弁護士の稼ぎでいい暮らしをしていたけれども、カルタゴがヴァンダルに征服されてしまう。その後ヴァンダルの王の怒りをかって投獄。それからどうなったのかは不明だが、おそらく解放されて北イタリアへと向かったと考えられている。

作品
Romulea (Carmina minora)
De laudibus dei (486-96)
Satisfactio (490年)

後の二つはキリスト教の詩。

 De laudibus dei (486-96) はドラコンティウスの最も重要な作品で、1巻が創造、2巻が受肉と贖罪(アリウス派への激しい攻撃を含む)、3巻がキリスト教徒と異教徒との比較に当てられている。
 なお、このうちの第1巻だけがHexameronというタイトルで校訂されていた時期があった。3巻まとめて始めて校訂されたのは、かなり最近で1791年の話。

 Satisfactioは、300行あまりのエレゲイアの詩で、自分を監禁した王にむかってかかれたと推察されている。

 Romulea (Camina minora)には、キリスト教的要素はほとんど見られない。
 模擬弁論などの他に、ヘレネの略奪、メーデイア、ヒュラースの話、2つの祝婚歌が含まれている。
 またOrestis Tragoedia*1 という詩もドラコンティウスの作品ではないかと考えられている。

 なお、Romuleaの中には、ヘクトルの死体を売り飛ばそうかどうか思案しているアキレウスを描いた詩があるらしいんですが、これは・・・*2

*1:間違いを指摘してもらったので修正しました。

*2:〔後日付記〕マスターから以下のような指摘がありました!「死体を売るかどうか思案するアキレウス(これもヘクサメトロスで231行)は、アキレウスが語るのではなくて、思案中のアキレウスに「返してやれよ」と助言をする詩です。この形式は大セネカなんかに出てくるスアーソーリアそのままなのでちょっと驚きです。スアーソーリアの主題というのは余り多く知られておらず、この題は多分これ以前に例がないので、研究の価値がありそうです。」