スピノザはその哲学を公表するべきだったのか? Garber, "Should Spinoza Have Published His Philosophy?"

 

  • Daniel Garber, "Should Spinoza Have Published His Philosophy?," in Interpreting Spinoza: Critical Essays, ed. Charlie Huenemann (Cambridge: Cambridge University Press, 2018), 166–187.

 この論文でDaniel Garberは、スピノザが認めた言論の自由の範囲に照らすならば、彼は彼の哲学書(『神学・政治論』と『エチカ』)を出版するべきではなかったと主張している。『神学・政治論』で示された普遍的信仰の教義は、『エチカ』に照らすならば偽である。このような認識が得られたとしても、それを得た人が『エチカ』の哲学を完全に理解した人であれば、その哲学に基づいて人々と調和して生きることができるので問題ない。しかし『エチカ』をまだ完全に理解していない人であれば、普遍的信仰の教義は偽であると分かりながらも、『エチカ』の哲学に従って生きることはできないかもしれない。世界は部分的にしか理性的でない人々に締められているため、スピノザの哲学の出版は社会を不安定にする。このような意見の公表は行うべきではないと『神学・政治論』ではされている。