パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)
- 作者: フランソワラブレー,Francois Rabelais,宮下志朗
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
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ただ素晴らしい翻訳なのですが、不注意もあります。とういかこういう不注意がない作品なんてないと思いますけど。。。
・ 「プルタルコスのことば(『哲学の原理について』3.6)が念頭にあったともいう」(49ページ)とあります。
まずplacita philosophorumは、「哲学の原理」ではなくて「哲学者(たち)の(諸)原理」じゃないか、というくだらないつっこみがあります。
でも深刻なのは『哲学(者)の原理』は、プルタルコスの『モラリア』に入っていますけど、実際は偽作です。だから(偽)プルタルコスとしなければなりません*1。
・ 『イーリアス』(307、315ページ)になっているところと『イリアス』(341ページ)になっているところは統一した方がいいでしょうね。
・ 「けれどもエピステモンがアエネイスがディドと別れたときはどうだったかを思い出させ」(279ページ)の注の部分に、「cf. ウェルギリウス『アエネイス』六。ディドは自殺してしまう」とあります。でもディドが自殺するのは6巻ではなく4巻です。
・ 「燃えさかる炎の中から父親アンキセスを連れ出したアエネイス」とか、その注として「アエネイスは盲目の老父を肩に背負い、幼子イウルスの手を引いて脱出するが、妻のクレウサとはぐれてしまう」とかあります(319ページ)。
でも「アエネイス」はウェルギリウスの叙事詩のタイトルであって、主人公の名前ではありません。主人公の名前は「アエネアス」です。
・ ホメロス『オデュッセウス』(339ページ)となっていますけど、オデュッセウスは主人公の名前なので、タイトルは『オデュッセイア』にしなくてはなりません。
けっこう古代に関しては不注意が見られるようです。