フィンドレン、『自然の占有』の書評

 高山宏氏がフィンドレンの『自然の占有』への書評を書かれています。

自然の占有―ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化

自然の占有―ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアの科学文化

 蒐集を「嗜(たしな)み」とした貴族階級の感性の歴史学、ないし社会統計学(後略)。

 なにしろ大部である、わざわざ貴重な時間をとられるのもいやだなあと思いながらパラパラやったのが運の尽き、一読魅了という体(てい)となった。

 主人公が二人いて、二人の具体的な驚異の部屋のたどった運命の物語が面白過ぎるのである。アタナシウス・キルヒャーとアルドルヴァンディ。

 斜塔堂さんの日記を日ごろから読ませてもらっている者からすると、やや面白みに欠ける書評になっているのはやむをえないところでしょうか。

 ところで、「アタナシウス・キルヒャーは17世紀スイスのイエズス会学僧である」とありますけど、どうしてスイス?キルヒャーの生まれはドイツです。その前半生は三十年戦争のためにドイツ各地を経て南仏まで移動を続け、後半生はローマの学院に居を定めました。ドイツとスイスの取り違えかな。と、これは些細なあげ足とりですが。