スリと『神の国』

 バルログに財布をすられる夢を見ました。なんというスピード。あれに追いつくのは間違いなく不可能。

 バルログはスペインにいますけど、スペインの対岸のアフリカにはかつてアウグスティヌスが住んでいました。

 というわけで、アウグスティヌス、『神の国』第7巻から第9巻までを読みました。第8巻は「プラトン派の人々以上にわたしたちに近いものはないのである」(5章)という有名な言葉が登場する巻であるにもかかわらず、いままで読んだことがありませんでした。

 今回読んだ箇所ではウァロ、アプレイウス、ヘルメス・トリスメギストスの著作が順々に批判されています。批判は異教の神学をめぐるものです。異教の神学の代表する人物としてこの三人が選ばれるというのは興味深いです。

 アウグスティヌスによる批判のやり方も面白いです。ウァロは唯一の神を認識していない。アプレイウスは唯一の神を認識しているものの、悪しきダイモンを神として認めている。ヘルメスは唯一の神を認め、かつ悪しきダイモンが裁きの日には滅ぼされることを認めているものの、悪しきダイモンに下される裁きを喜ばしいことと考えていない。このように批判される人物ごとに問題があるとされる点が段階的に上がっていきます。