Bos, The Soul and Its Instrumental Bodyがすごいかも

The Soul and Its Instrumental Body: A Reinterpretation of Aristotle's Philosophy of Living Nature (Brill's Studies in Intellectual History)

The Soul and Its Instrumental Body: A Reinterpretation of Aristotle's Philosophy of Living Nature (Brill's Studies in Intellectual History)

 すでにid:Freitagさんも日記で触れていますが、『魂とその道具としての身体:生き物についてのアリストテレスの哲学の再解釈』はものすごい本かもしれません。

 Bosがやろうとしていることは単純で、「器官をそなえた自然的物体の、第一次の現実態(中畑正志訳)」と普通訳される魂の定義を、「道具として機能する自然的物体の、第一次の現実態」と訳しかえるということに尽きます。

 しかしアリストテレスの魂の定義としてアフロディシアスのアレクサンドロス以来受け継がれてきた解釈を覆そうとしているわけです。さらにはイェーガー以来の発展論的解釈に最終的に止めを刺し、初期の対話編から『魂について』にいたるまでの全著作に現れる魂をめぐる議論について一貫した解釈を施すことをもくろんでいます。

 まだ途中までしか読んでいないものの、論証は説得的な形でなされているように思えます。Classical Rreviewで書評が出ているようなので明日チェックしてみましょう。

 ちなみに同著者による研究書が5月に出ます。

Aristotle, on the Life-bearing Spirit, De Spiritu: A Discussion With Plato and His Predecessors on Pneuma As the Instrumental Body of the Soul

Aristotle, on the Life-bearing Spirit, De Spiritu: A Discussion With Plato and His Predecessors on Pneuma As the Instrumental Body of the Soul

 『気息について』の翻訳、注釈のようです。

[追記]

 焦点は道具的体の解釈についてで、この解釈が受け入れられるかどうかがBos説の今後の運命を決しそうです。そして受け入れられる見込みは低いのではないかというのが今の私の考えです。