Kennedy, Piccolomini on Immortality

  • 『ピッコローミニと不死』 Leonard A. Kennedy, “Francesco Piccolomini (1520-1604) on Immortality,” The Modern Schoolman 56 (1979): 135-150.

 ピッコローミニの整理によると,

 理性的魂(anima rationalis)と精神(mens)を分けて考える.

 理性的魂は体と結合している.しかし理性的魂が体を形成することはない.ちなみに,ピッコローミニは体を形成することを,"formare humanum corpus"ないし,"dare esse humani"と表現する.

 一方,精神は体と結合しない.精神が結合するのは理性的魂である.

 理性的魂は体の形相ではない.両者の関係はむしろ船乗りと船の関係のようである.したがって,理性的魂が体を形成することはない.理性的魂が行うのは,形成された体を機能させることである.

  • ピッコローミニ自身の見解

 理性的魂は体の形相である.それは体を形成し,かつ形成された体を機能させる.

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 どうも,魂の働きの候補として,"dans esse homini"と"dans operari homini"の二つが当時考えられていたようです.スカリゲルは前者の力を"formatrix"と,後者の力を"informatrix"と呼びました.

 この区別は,アリストテレスに由来する第一現実態,第二現実態の区別に対応しているのでしょうか.していない気が私にはします.何かまだ見落としている点がありそうです.