ベーコン研究その15

 『Cogitationes de natura rebus』はなかなか興味深い作品でした.ベーコンは物質が直接的にtransmutationすることを認めているのですね.ここからデモクリトスが原子が不変であり,大きさの違う原子の組み合わせで万物が生じると考えたことが批判されます.

 まだはっきりとは言えませんけど,この物質が行うtransmutation,物質が持つappetite,物質に見られる収縮と拡大といった原子論と精気論に共通するテーマを子細に検討することにより,原子論ばかり見るマンソと,精気論ばかり見るリーズの双方が見落としている点が浮き彫りになる気がします.

 とはいえ今回はそこまでは踏み込めないので,原子論に見られる神学的要素と,そのソースについて論じるだけで終わることになります.今週中には全体を書きあげます.