Michael, Averroes and the Plurality of Forms

  • アヴェロエスと形相の複数性」 Emily Michael, "Averroes and the Plurality of Forms," Franciscan Studies 92 (1992): 155-82.

 アダムさんがすでにスキャンしていたのに、わざわざ学外から取り寄せてしまったという間抜けなことになった論文です…。これを午前中は読みました。

 一つの実体は一つの実体形相しか持たないというトマス・アクィナスの主張に対して、いや、一つの実体にも複数の実体形相があるとする人たちの話です。フランシスコ会の修道士から、ヴェネツィアのポールまでを扱う総覧的な論文です。明晰な論述で重宝します。実際、これを読んで初めてspecific formとgeneric formという概念が理解できました。

 複数の実体形相の並存を認める見解が、17世紀の新哲学の重要な背景を形成したということは、近年のニューマン、ヒライ、ブランクによって明らかとなっています。これらの最近の研究のさらに土台となる知見をすでに20年前にこのマイケルやエマートンが準備していたのですね。

 あとは中世の形相の複数性についての基本文献であるZavalloniを見ないといけません。これは手元にあるのですけど、まだ手をつけていないものです。