西洋中世学会第2回大会雑感

 そろそろほとぼりも冷めた頃なので、先日参加した学会について書き残しておきます。

 私が聞いた発表のなかでは、原田晶子さんの「中世末期ニュルンベルク教会への寄進と市民の心性」がほぼそのままの形で論文として投稿できそうなものでした。ただ内容の一部はかつて出された以下の論文と重複するようです。

 赤江さんの「中世後期の説教と『記号/しるし』の概念:14世紀の一説教集から」は、発表技術の水準が非常に高いものでした。話す速度、スライドの情報量などが適切に調節されていて、今後自分が発表する時はこれを一つの手本にしたいと感じました。また問題への入り方もすばらしく、出だしの部分では「そうだよ、これが学問なんだよ」と一人興奮していました。

 残念だったのは非常に基本的なところから話を起こしていったため、これから面白くなりそうだというまさにその地点で話が切れてしまったことです。あと20分くらい話してくれたらなぁ、と強く思いました。ただこればかりは学会なので仕方ありません。赤江さんの論考は『西洋中世史研究』の第2号に収録される予定なので、そちらを待つことにします。

 その他全体として気になったのが、与えられた時間に関する意識が希薄な発表が多かった点です。25分という決して短くない時間が用意されているのだから、その枠に発表が収まるように予行演習を重ねて本番に臨むべきです。

 あと、これはどの学会にも共通するのですけど、若手(年齢ではなく研究歴の点)の人たちの質問があまりなくてさみしく感じました。

 最後にどうでもいいのですけど、なぜ質問する時に所属を言わないといけないのでしょう。名前だけでいいじゃない。