『シルウァエ』 II. 7

 なんだか寝つきが悪いので、スタティウスの詩をもう一つ訳しはじめました。この詩はスタティウスが、ルーカーヌスという先輩詩人の未亡人に宛ててつくったものです。
 ルーカーヌスとは誰か、とかいろいろ重要な話はあるのですが、今はそういう話はとりあえず抜きにして、この詩の最初の25行ほど、全体の五分の一程度を訳したものを載せておきます。また暇があれば続きを訳したいです。(たまには原文も載せておきます)

ポッラへ宛てるルーカーヌスの誕生日を記念した詩

VII. GENETHLIACON LVCANI AD POLLAM
Lucani proprium diem frequentet
quisquis collibus Isthmiae Diones
docto pectora concitatus oestro
pendentis bibit ungulae liquorem.
ipsi quos penes est honor canendi, 5
vocalis citharae repertor Arcas,
et tu Bassaridum rotator Euhan,
et Paean et Hyantiae sorores
laetae purpureas novate vittas,
crinem comite, candidamque vestem 10
perfundant hederae recentiores.
docti largius evagentur amnes,
et plus Aoniae virete silvae,
et, si qua patet aut diem recepit,
sertis mollibus expleatur umbra. 15
centum Thespiacis odora lucis
stent altaria victimaeque centum,
quas Dirce lavat aut alit Cithaeron.
Lucanum canimus, favete linguis;
vestra est ista dies, favete, Musae, 20
dum qui vos geminas tulit per artes,
et vinctae pede vocis et solutae,
Romani colitur chori sacerdos.

ルーカーヌスの誕生日には、イストゥムスのウェヌス女神の丘で、学識ある詩的霊感に胸を鼓舞されて、ペイレーネーの泉の水を飲む者はみんな集まるべきなのです。

詩作の名誉を手中に収めている者たち、すなわち美しい音を奏でるキタラ創始者であるアルカディア人、そしてあなた、バッコスの信女たちを踊らせるバッコス、そしてアポロン、そしてムーサイたち、どうか進んで紫色のリボンを新しくし、髪の毛をくしけずり、光り輝く着物を新鮮なキズタで染めてください。

詩がより広く流れ出て、あふれ出るようにしてください。またアオニアの森をもっと緑にしてください。もし森のどこかに開けた場所があり、陽の光を受けていたならば、柔らかい花冠で陰を満たしてください。

テスピアエの森に、においを放つ百の高祭壇を立て、ディルケーの泉が洗い、キタエロンの山々がはぐくんだ百の犠牲獣を置いてください。

私はルーカーヌスを歌います。みな口はつぐんでください。

ムーサイよ、これはあなたたちの日なのです。彼がまことの技芸をもって、抑揚の効いた声のリズムに乗せて、あなたたちを運び、ローマの合唱隊の司祭として名誉を受けているあいだは、どうか好意をよせてください。(つづく)

【追記】テキストを載せた効用でしょうか、さっそく訳の間違いを指摘していただきました。どうもありがとうございますm(__)m。まだまだ間違いがあると思うので、なにとぞよろしく…。