自筆原稿流出問題

 3月10日発売の文藝春秋

村上春樹 「ある編集者の生と死 ―― 安原顯氏のこと」

という文章が掲載されています。ウラゲツ・ブログさんの方でもさっそく話題になっています。

http://urag.exblog.jp/3320401/

 なぜこんなものを村上氏が書いたかといえば、安原顯という編集者が、中央公論社(現中央公論新社)で雑誌を編集しているときに村上氏から受け取った自筆原稿を無断で個人保管し、晩年に(安原氏は2003年に亡くなっている)古書店に売っていたことが発覚したからです。
 発覚したという言い方は正確ではないかもしれません。この話は、以前Taxiという雑誌(の創刊号あたり)で坪内祐三氏が書いていたと記憶しています。文芸業界ではよく知られたことだったのではないでしょうか。

http://shumpu.com/pub/books/4921146675.html

をみると鹿島茂氏による次のようなコメントがあります。

「なんだかんだといっても、安原顯の審美眼は一流で狂いがない。これだけは絶対に言える。日本の出版界の堕落はヤスケンに金を出す人間がいなくなったときから始まっている。」(鹿島茂

 作家から受け取った原稿を無断で古書店に売り払うような人物にお金を出さなくなったことで出版界が堕落したなら、そんな世界は早晩消滅するべきだと思いますが…。