グーグルの「夢の図書館」と大学の対応

 グーグル(Google)が、各国の大学図書館と提携して、著作権が切れた作品をスキャンし、ウェブ上で閲覧可能にする計画を立てています。アメリカでは、すでにハーバード大学と契約を済ませているそうです(4月16日朝日新聞朝刊より)。
 現在私が所属している東京大学にも、グーグルから提携の申し入れが来ているそうです。しかし、申し入れはあったものの、東京大学はそれを断る方針を立てつつあるといいます。グーグルの事業が商業的であることが、断る原因として大きいとか。
 確かにグーグルは一般企業であり、いつ倒産するか分かりません(100年後にグーグルがあるかどうか誰にも分からない)。だから(半)永続的なアーカイブの構築を目指す場合に、グーグルに頼ってしまうのは問題となります。
 しかし、日本の場合、アーカイブを作るための別の選択肢が、果たしてこれから出てくるかどうか。イギリスやフランスのように、国が多大な経費を支出して自国の古い文献をウェブ上で整理して公開するということを、日本の政府に期待するのは難しそうです。Gallica(フランス国立図書館のホームページ)のような場所を、日本の国会図書館が準備するのは不可能でしょう。現在の財政状況下で、そのような事業に予算を出すことを納税者が認めるとは思えません。
 だったら、たとえ商業主義的ではあっても、グーグルのような外国資本に侵入してもらった方が、結果的には日本が有する文化資本を有効活用できると思うのです。

〔追記〕
 ちなみに、上述した東京大学の方針については、又聞きの又聞きくらいの精度の情報なので、うのみしないで下さい(-_-;)。