- 『セネカの神義論』 Hermann Steiner, Theodizee bei Seneca (Erlangen: Jacob, 1914).
読みました。80ページ程度の小さな著作で、摂理に関するセネカの発言が集められ要約されています。特に興味深いことが書かれているわけではないです。その意味ではやや期待はずれでした。ただセネカの哲学著作に見られる二元論的傾向がすでにこの時期から問題視されていたことが分かります。
また「製作者は材料を変えることができない non potest artifex mutare materiam」(『摂理について』第5章9節)という謎めいた文章について簡単にであれ触れた研究というのは、マンスフェルトを除くとこのシュタイナーのものしかいまのところ見つけられていません。(情報募集中)
なお、これ以前に
「ストア主義とキリスト教との関係から見たセネカの神学」 R. Burgmann, Senecas Theologie in ihrem Verhältnis zum Stoicismus und zum Christentum (Ph.D. diss., Jana, 1872)
という博士論文が出されているそうです。これは日本にはありません。入手は不可能ではありませんけど、入手する価値があるかどうかは不明です。こちらも60ページほどの小さな作品です。