死者と対話するカルダーノ Maggi, "The Dialogue between Living and the Dead in Cardano's Thought"

  • Armando Maggi, "The Dialogue between Living and the Dead in Cardano's Thought," Bruniana & Campanelliana 16 (2010): 473–80.

 文学めいた書き方がなされていて何が言いたいかよく分らない論文でした。興味深かったのは、カルダーノが『シュネシオス派の夢の書』のなかで、彼の親友で今はなくなってしまったProspero Marinoniに出会う場面を解説した箇所です。ここでカルダーノは友人に死とはどんなものなのか、と尋ねます。友人の答えは「高熱のようなもの(high feverと英語訳されている)」。これは死後に人間霊魂が浄化される過程を比喩的に示していると思われます。カルダーノによれば死後に人間の霊魂は能動知性の部分しか残らないので、個物について認識する可能性は失われます。それでも個人が個人として死後も生に与れるとするのは、組織宗教がこの過酷な世で人びとを絶望から守るために広めている教えなのです。彼が異端の嫌疑にかけられたのもよく理解できます。