イギリスの漫画では『ロミオとジュリエット』の舞台が東京渋谷になっている件

 4月3日からCBCテレビにて、アニメ版『ロミオとジュリエット』の放送が開始されました。

 公式ホームページに第一話と第二話のあらすじが紹介されています。それによると

 舞台は天空浮遊大陸ネオヴェローナ。モンタギューによりキャピュレット一族が惨殺されてから14年後…。
 街では「紅い旋風(かぜ)」と呼ばれる剣士が、市民に圧政を強いるモンタギューの兵士と戦っていた。

 天空浮遊大陸!ばりばりファンタジー化しています。

 とりあえずこのアニメ自体への評価は脇に置くとして、これまでにシェイクスピアの戯曲がアニメ化されたことはあるのでしょうか。

 少し調べてみると、漫画化はすでにされていることが分かりました。たとえば、いがらしゆみこ氏による『ロミオとジュリエット』があります。

 でも、今日取り上げたいのは日本ではなく、本場イギリスでの漫画です。ええ、ちゃんとイギリス人もシェイクスピアを漫画にしているようなのです。

Romeo and Juliet (Manga Shakespeare)

Romeo and Juliet (Manga Shakespeare)

 ジュリエットがバイクに乗っているように見えるのは気のせいでしょうか。いや、気のせいではないようです。作品紹介には次のようにあります。

 シェイクスピアの最も有名な恋愛物語、『ロミオとジュリエット』がドラマティックな漫画の舞台で繰り広げられる。舞台はファッショナブルな東京渋谷

 若くてイノセントで、星回りの悪い恋人たちが、二つのヤクザ一家のあいだの激烈な抗争に巻き込まれる(ヤクザというのは日本のマフィアのこと)。ヤクザの抗争は暴力に発展し、路上での殺人事件を引き起こす。

 ロックスターのロミオは、モンターギュ一家の一員。彼はキャプレット一家のジュリエットと恋に落ちる。

 ロミオとジュリエットは両親をだまし、秘密のうちに二人の恋を成就する。

 これは愛、復讐、暴力、そして悲劇の物語なのだ(ここから抜粋)。

 なんと、モンターギュとキャプレットがヤクザ一家の名前になってしまっています。でも、モンターギュなんていう粋な名前を冠したヤクザは日本には存在しないと思います。ついでにロミオはロックスターで、抗争の舞台は渋谷です。

 『ロミオとジュリエット』をヤクザの抗争で引き裂かれた恋の話にしてしまうとは。。。これに比べたら、天空浮遊大陸ネオヴェローナなんて改変はかわいいものです。しかし、漫画にするときに、わざわざ舞台を日本に設定しようとする動機がよく分かりません。イギリスでの漫画受容の一面が反映されているのでしょうか。

 ちなみにイギリスでは『ハムレット』も漫画化されています。

Hamlet (Manga Shakespeare)

Hamlet (Manga Shakespeare)

 設定は次の通り。

 この漫画の中では、ハムレットは未来のドラマティックな世界に置かれている。

 巨大な地震が私たちの惑星を別々のコロニーに分断してしまったデンマークは繁栄を極め、周辺諸国に対して首尾よく防衛を行っていた。

 だが、デンマークにとっての最大の脅威が外からではなく、デンマーク内部からやってくるということはないだろうか。

 私たちが若きハムレットを見いだすのは、このサイバーワールドにおいてである。ハムレットの父は最近死んでおり、彼の悲しみは深い。そのとき彼の父親の亡霊が現れる。そして、ハムレットの悲しみはいっそう暗いものへと変わっていくのだ。

 ハムレットはすぐにデンマークの中で何かが腐っていることを発見することになる…(ここから抜粋)。

 今度はちゃんとデンマークが舞台です。しかし、デンマークといっても、地震で分断された未来のサイバーワールドですからね。

 というわけで、イギリスでもシェイクスピアが漫画化されているよ、というだけの話でした。

 なお、明日は『リア王』、あさっては『ロミオとジュリエット』のドラマが放送されるらしいです。シェイクスピアファンは是非。