パラケルスス論文

 id:Freitagさんのパラケルスス論文の英語版の草稿を見せていただきました.ありがとうございます.著作に収められているフランス語版を読んだだけでは分からなかった点がはっきりしました.単語数的にも内容的にもJournal of the History of Ideasにぴったりです.英語の手直しさえすればもう投稿できるのではないでしょうか.

 Freitagさんの論文を読んでいて強く感じたのですが,これは菊地原洋平氏の「パラケルススの物質観 - 四元素と三原基の構造関係について」と合わせて読むことではじめて理解が行き届く論考です.Freitagさんは三原基についてほとんど説明しません.なので読者としては三原基がパラケルスス創造論の中で果たす役割を分析したものが読みたくなります.それがまさに菊地原氏の上記論文なわけです.というわけで,「パラケルススの物質観」も英語に直してAmbixJHIで発表するといい具合のコラボレーションが生まれると思います.

 菊地原氏は他にも以下のような論文を執筆されています(私が把握していないものもあると思います).

  • 「西欧中世における架空種族論の集大成 - ハルトマン・シェーデル、『年代記』(1493)の考察」『生物学史研究』76(2006年),17-39頁.
  • 「評伝 西洋の化学者(6)伝記パラケルスス - パラケルススにおける著作とテクストをめぐる問題」『化学史研究』29(2002年),69-99.
  • パラケルススの植物観にみる形態と象徴 - 西欧近代初期における錬金術本草学への一考察」『モルフォロギア』24(2002年),47-67頁.
  • 「秘密の薬草物語 - ルネサンスの『徴』の理論、あるいは本草学と占星術の結び目」『Aromatopia』11巻 4号(2002年),8-12頁.
  • 「あるいは彼自身困難な存在 - パラケルススの「癒し」をめぐって」『Aromatopia』11巻 4号(2002年),35-39頁.
  • パラケルススの物質観 - 四元素と三原基の構造関係について」『科学史研究』40(2001年),24-34頁.