アフロディシアスのアレクサンドロスと魂の不死

 アレクサンドロスアフロディシアスといえば、人間の理性的魂が肉体とともに消失するという説をとなえたことで、哲学史上知られています。

 しかしアレクサンドロスは実際には「外からやって来る〔神的な〕思惟」の存在を認めており、この思惟を受容することで人間の魂の中に部分的に不死なる部分が生まれると考えていたようです*1

 ただし、『「魂について」注解』(散逸したものの他の著作家による引用からある程度再構成可能)、『魂について』、『思惟について』(偽作かもしれない)の各著作で、主張が相互に食い違っていたりするので、アレクサンドロスが言わんとすることを正確に同定するのは困難のようです。

〔文献〕

  • Sharples, “Alexander of Aphrosidias: Scholasticism and Innovation,” Aufstieg und Niedergang der römischen Welt, ed. Wolfgang Haase (Berlin: de Gruyter, 1987), 2.36.2:1176-1243, here 1208-9.
  • Paul Moraux, Paul Moraux, Alexander von Aphrodisias, Der Aristotelismus bei den Griechen : von Andronikos bis Alexander von Aphrodisias 3 (Berlin: de Gruyter, 2001), 324, 352-53, 389.

*1:この辺の表現は微妙なんですが…