お仕事の宣伝をします

 2009年に入っていくつか私のした仕事が形となったので宣伝します。

  • ゲルマニアヘラクレスの裔」 "German Hercules's Heir: Pierre Gassendi's Reception of Keplerian Ideas," Journal of the History of Ideas 70 (2009): 69-91.
    • 2007年の9月に投稿した論文が2009年1月になってようやく出版されました。内容としては、ヨハネス・ケプラー天文学を、17世紀の原子論者であるピエール・ガッサンディがどのように受容したかを出発点に、最終的には両者が共通の神学的立場を有していたことを明らかにしたものです。ところでアメリカの雑誌で出たからか、WorldCatに登録されています(ここ)。
  • 「書評――ヒロ・ヒライルネサンスの物質理論における種子の概念』」 Review of Le concept de semence dans les théories de la matière à la Renaissance: de Marsile Ficin à Pierre Gassendi, by Hiro Hirai, Historia Scientiarum 18 (2009): 237-42.
    • ヒロ・ヒライことid:Freitagさんの著作に対する書評です。書かれていることの大半はFreitagさんの本の要約に過ぎません。こういうつまらない作品ではなく、例えば小澤実氏が書くような専門外の読み手にも訴えかける書評を書きたかったのです。でも力及びませんでした。というわけでこの書評自体は全く重要ではないです。対照的に書評されている本は非常に重要なので皆さんちゃんと読みましょう。私は隅から隅まで3度読むことで、新たな知識を得ただけでなく、論文を書く上で重要なことをたくさん学びました。
  • セネカと折衷主義――ユストゥス・リプシウスにおける悪と宇宙周期」、『哲学』、第60号、2009年、185-200頁。
    • 2008年6月に投稿した論文です。リプシウスが試みたキリスト教とストア主義とのあいだの調和が、セネカの著作の独特な解釈に基づいたものであることを明らかにしました。この主張をするために採用した手法は個人的に気に入っていますし、査読者からも「文献の扱いの手堅さ、論旨の明快さ」を評価してもらえてうれしかったです。一方ひさびさに読み返してみて文章のあまりの無味乾燥さに驚きました。まるで子供の文章だ。あ、あと最後に。この論文は岩波書店から2005年から6年にかけて出た『セネカ哲学全集』を大々的に使った(たぶん)はじめての論文です。あの全集に収められた翻訳の質は高いので皆さんもぜひ手に取って見てください。