パラケルスス『医師の迷宮』

 菊地原さんが『化学史研究』に寄せた書評を読みました。取りあげられているのはパラケルスス(1493/94-1541)の『医師の迷宮』(Labyrinthus medicorum errantium; 1538年ごろ)です。

  • 菊地原洋平「紹介:パラケルスス『医師の迷宮』」『化学史研究』第38巻(2011年)、44-46頁。

本書はパラケルススの著作の中では研究者以外に馴染みが薄いかもしれないが、間違いなくパラケルスス思想の神髄をつく重要作であり、この訳書の刊行は科学史、思想史、およびその関連領域において画期的な事件といってよい。

 書評では『医師の迷宮』の執筆背景や具体的内容の解説のみならず、いくつかの論点については初期や後期の思想との関連性も述べられています。読書のよい導き手となってくれるでしょう。

 「木にはたくさんの木があるように、身体にもたくさんの血液がある」というのは、「木にはたくさんの樹液があるように」の間違いかな?