- 作者: Manfred Horstmanshoff,Helen King,Claus Zittel
- 出版社/メーカー: Brill Academic Pub
- 発売日: 2012/06/01
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- Rina Knoeff, "Herman Boerhaave's Neurology and the Unchanging Nature of Physiology," in Blood, Sweat and Tears: The Changing Concepts of Physiology from Antiquity into Early Modern Europe, ed. Manfred Horstmanshoff, Helen King and Claus Zittel (Leiden: Brill, 2012), 195–216.
ヘルマン・ブールハーフェの生理学の特徴を検証する論文です。1709年以降のブールハーフェは神経システムが生体の鍵を握るとみなすにいたりました。神経を液体が体内を流れることがさまざまな生命活動を可能にしているというのです。この液体を脳と脊髄にある共通感覚が押し出すことで体内での循環が可能となります。この循環が妨げられると卒倒、めまい、てんかん、狂気といった諸症状が発現します。ブールハーフェはこのような見解を、他の人々による解剖学の結果という基礎の上にたって推論することから得ており、それを自然哲学上の成果として提示していました。この意味で生理学はいまだに(解剖学とは対照的に)経験的な学問ではなく、あくまで思弁的な営みでした。生理学の経験学問かはクロード・ベルナールを待たねばなりません(これはAndrew Cunninghamの見解)。
そんなことより激しいめまいがする患者がいたら、そいつを椅子に座らせてから、気を失うまで激しく椅子を回し続けろ、そうすれば神経の液体の流れが回復してめまいが治る、とか、狂気にかられた人間がいたら、そいつをもう死んだんじゃないかと思えるくらいまで水に沈めておけ、そうすれば液体の流れが回復して治る、とかいうあまりに過激なショック療法を勧めるブールハーフェが怖い。
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