アラビア世界の錬金術 Principe, The Secrets of Alchemy, ch. 2

The Secrets of Alchemy (Synthesis) (English Edition)

The Secrets of Alchemy (Synthesis) (English Edition)

  • Lawrence Principe, The Secrets of Alchemy (Chicago: University of Chicago Press, 2012), 27–50.

 こちらも自分用のメモです。より詳しくは柴田さんの記事をみてください。

 第2章では750年頃から1400年年頃にかけてのアラビア錬金術が概観される。アラビア世界に錬金術文書が伝えられたのは、8世紀はじめのエジプトでのことであった。初期の錬金術文書には、ヘルメスに帰された『エメラルド板』がある。この短いテキストは錬金術創始者ヘルメスの教えを伝える文書として、長きにわたる解釈にさらされることになる(アイザック・ニュートンもこの文書の解釈に頭を悩ませていた)。続く重要史料は、ジャービルの名を関した大量の文書群であり、9世紀半ばからおよそ100年のあいだに生みだされた。そこには今後長きにわたり金属理解のスタンダードとなる硫黄・水銀説と、アリストテレスとガレノスの教説にもとづくエリキシルを用いた定量的な金製造法が論じられている。このように錬金術が大いに発展をみせると同時に、アラビア世界ではイブン・シーナーによる錬金術批判や、錬金術を詐欺師とみなす物語が流通してもいた。