- Andreas Blank, “Existential Dependence and the Question of Emanative Causation in Protestant Metaphysics, 1570–1620,” Intellectual History Review 19 (2009): 1–13.
論文の前提としてライプニッツ学者のChristia Mercerの研究があります。彼女はライプニッツの1, 2世代前のドイツに神と世界の関係をプラトン主義的流出論の構図を使って理解した哲学者がいたということを指摘しました。それに対して著者はタウレッルスNicolaus TaurellusとゴクレニウスRudolph Gocleniusという二人の哲学者の学説を取りあげ、当時のドイツには流出論への反論もみられたことを指摘します。
流出論を批判する際にタウレッルスが依拠したのは、元素はそれ自体として独立した存在なので、創造の後はもはやその存在を神に依存していないという考えです。これは粒子論的な物質論から流出論を拒否したと整理できます。一方のゴクレニウスは次のように議論を組み立てます。人間が自己について考えるという心的行為はいかなる外部存在も介在させずに行うことができる。したがって人間の知性は独立した存在である。したがってそれが流出論が主張するように神の一部であったりすることはできない。
粒子論的な物質論と流出論の関係をどう理解するか。あるいは自己を思惟する知性を流出論的に説明できるか。これらの問いはヴァイゲル、スピノザ、ライプニッツに引き継がれていくことになります。
関連記事
- 作者: Mercer
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2008/01/12
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (1件) を見る