「大学構内において違法に書物が複製されることを効果的に防止する」

 友人のサイトで取り上げられていたので、著作権保護期間延長について少しメモ。

 著作権の保護期間を延長しようという運動があるようです。今の法律だと、作者の死後50年で著作権が切れます。これを死後70年まで延長しようというのです。
 延長を推進している団体が文化庁に提出した要望書を見ることができます。

 この要望書によれば、著作権の保護期間を70年に延ばす必要があるのは、70年という保護期間が欧米並みの「国際的なレベル」だからだそうです。

 どうして「国際的なレベル」にまで延ばさなければならないかというと、「インターネットが発達し、著作物が瞬時に国境を越えて流通する時代」になっているので、著作権の保護にも国際協調が必要となっているからです。

 また、「国際的なレベル」にまで延ばすもう一つの理由として、「真の知財立国を実現するため」ということも挙げられています。

 知的財産を国の文化や産業の基盤とし、魅力ある日本を実現していこうとする中で、その基本となる著作権の保護期間が、欧米諸国など多くの諸外国より短いままということは、国家戦略の放棄を意味するに等しいものだと思います。

 ずいぶん大きく出ていますね。

 あと、当然ながら著作権を保護することが、「今を生きる創作者のインセンティブを高める」ことにつながるとも書かれています。しかし、これは保護の問題であって、延長とは必ずしも関係ないですね。

 要するに、この要望書が挙げている延長の根拠は、以下の3点のようです、

 次のサイトが、賛成派と反対派の言い分をまとめてくれています。

 いろいろありますが、結局アメリカが延ばせといっているんだから延びるのでは。

 米国は日本に以下の提言を採用するよう求める。

 II-A. エンフォースメント(知的財産権の行使)制度 以下の措置を講じて著作権侵害に対するエンフォースメント制度を強化する

(中略)

 II-A-2. 著作権保護期間の延長 一般的な著作物については著作者の死後70年、また保護期間が生存期間と関係のない著作物に関しては発表後95年という現在の世界的傾向と整合性を保つよう、音声録音および著作権法で保護されるその他すべての著作物の保護期間を延長する。

 しかしなんといっても、この要望書が衝撃的なのは次です。

II-A-4. 偽作版 特に大学構内において違法に書物が複製されることを効果的に防止するため、著作権法をもって取り締まる。

 いや、確かに大学構内は、日本に限らず世界中で、著作物の複製がもっとも頻繁に行われている場所だと思います。思いますが…。しかし、大学に勤めている人で、「違法に書物を複製」したことがない人って果たして存在するのでしょうか。