The Unity of Plato's Sophist: Between the Sophist and the Philosopher (Cambridge Classical Studies)
- 作者: Noburu Notomi
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2008/08/21
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古代注釈家たちの見解を整理した部分が興味深いです。プラトン研究者にとってはその後の本論こそが面白いのでしょうけど。
『ソフィスト』篇の主題が「月下界のデミウルゴス」であるというとんでもない見解が古代にあったそうです。プラトンが別の対話篇でゼウスなんかのことをソフィストと呼んでいる箇所を持ってきて、そこから『ソフィスト』篇は名前からして、「月下界のデミウルゴスが主題なんだよ!」と主張するという。
この見解の出所はイアンブリコスのようです。正確に言えばとあるスコリアに、イアンブリコスがそう主張したと書いてあるそうな。
そこまではまあ分かっていたのですけど、納富氏の本を読んで、このトンデモ見解がフィチーノの『ソフィスト注解』で紹介されていることを知りました。
きっとスカリゲルはフィチーノを通じて、この見解を知ったのですね。謎が解けました。
ところで古代の(アリストテレスではなく)プラトン注解の伝統というのはどの程度明らかにされているのでしょうね。プロクロス、ヘルメイアス、ダマスキオス、オリュンピオドロスなんかですけど。