初学者のためのラテン語勉強教材

 ちょっと要望があったので、初学者がラテン語を勉強するときに何をつかったらいいかということについて書きます。

 ここでいう初学者というのは文法事項の勉強を一通り終えて、これからまとまった量の文章を読んでいこうという人のことを指しています。まだ文法をやってないよーという人は対象に含まれないので注意してください。

 では最初に読むまとまった量のラテン語というのはどのようなものがいいのか。

 まず考えられるのはラテン・リーダー的な教科書です。いろんな作品からの抜粋で成り立っていて、それぞれについて単語とか文法事項の解説がついているやつ。

 これはわるくないとは思います。でも、なんというかあまりに学校チックなんですよ。研究とか読書とかとはほど遠い感じ。よほどの強制力が外部から働かないかぎりはこういうものを一人でやり遂げるのは難しいと思います。

 じゃあオックスフォード大学出版会から出ているような本格的校訂版と注釈書を使って読めばいいのか?これは周りに文学史的背景、写本伝承、文法事項、韻律について詳しく解説してくれる人がいる場合は、最良の方法だと思います。ただ実際問題こういう環境にいる人はそれほど多くはないでしょう。もしいない場合は、この方法はかなり厳しいです。なにしろ本格的な研究書は簡単な文法事項など一切説明してくれませんから。

 というわけで必要になるのは教科書的無味乾燥アンソロジーでもなく、本格的な学問的注釈書でもないものになります。そこではまとまった形で古典語の作品が提示されていて、それについての初学者向けの文法事項の解説がたくさんなされていることが望ましい。さらにはその作品の日本語訳があればなおよい。

 そのような基準で選ぶと、私が使ったなかでは以下の3冊がいいのではないかと思います。散文としてはキケロ、韻文としてはウェルギリウスです。

散文

Cicero Pro Archia: Pro Archia Poeta Oratio

Cicero Pro Archia: Pro Archia Poeta Oratio

Cicero's First Catilinarian Oration: With Introduction, Running Vocabularies, and Notes

Cicero's First Catilinarian Oration: With Introduction, Running Vocabularies, and Notes

韻文

Virgil: Aeneid II (Bcp Latin Texts)

Virgil: Aeneid II (Bcp Latin Texts)

 また私は使っていませんが次のものもよさそうです。出版社のページからサンプルを見ることができますね。

Book 7 Of Caesar's Bellum Gallicum: With Introduction, Text, Vocabulary And Notes

Book 7 Of Caesar's Bellum Gallicum: With Introduction, Text, Vocabulary And Notes

 と、ここまで書いてからラテン語徒然の方にこんな記事があるのを見つけました。

 あ、もう私の記事意味なくないですか?

補足

カエサル『ガリア戦記』〈第1巻〉

カエサル『ガリア戦記』〈第1巻〉

 これもとてもいいです。