スピノザの聖書学への貢献 Curley, "Spinoza’s Biblical Scholarship"

 

  • Edwin Curley, "Spinoza’s Biblical Scholarship (Chapter 8–10)," in Baruch de Spinoza: Theologisch-politischer Traktat, ed. Otfried Höffe (Tübingen: Akademie Verlag, 2014), 109–126.

 この論文でEdwin Curleyは、スピノザは同時代の学者と比較すると歴史学者として傑出していたわけではないというRichard Popkinの見解に反論している。Curleyによれば、スピノザモーセ五書の著者がモーセであることを、ホッブズやラ・ペイレールには見られない論拠をもって否定した。また、モーセ五書を超えて、他の旧約聖書の文書の著者も伝統的に想定されてきた著者ではないとした。最後に、旧約聖書の歴史書について、現代の聖書学でも用いられる議論(記述の重複や年大学上の問題に着目すること)を用いて論じた。これは彼の先駆者たちがしてこなかったことであるという。