文献学の神学からの解放 Van Miert, Emancipation of Biblical Philology

 

  • Dirk van Miert, The Emancipation of Biblical Philology in the Dutch Republic 1590-1670 (Oxford: Oxford Unversity Press, 2018).

 この著作でDirk van Miertは、文献学が神学からある程度まで解放され、相当程度自立した学問分野となったのは、1650年代のことだと示そうとしている。おそらくは1637年のオランダ語の国定訳聖書の出版を受け、1640年代初頭以降に聖書文献学の論考がオランダ語でも出版されるようになった。1655年のラ・ペイレールの『アムダ以前の人間』の出版は、同書を批判するパンフレットや論文を生み出した。こうして文献学は40年代よりアカデミアの枠を超えて広がり、50年代にはアカデミアのなかで一個の教えるべき科目にまでなったとvan Miertは論じている。