『善と悪の究極について』2

 キケローの哲学書ですが、とりあえず第1巻を読み終わりました。エピクロス派が扱われています。
 この『善と悪の究極について』という作品は実は対話篇でして、様々な学派の哲学を信奉する登場人物が、自説を披露したり、他の学派の見解を批判するという体裁をとっています。
 対話篇のテーマは「人間のあらゆる営みの中で何が最善のものであり最も根本的なものであるかを探求すること(第1巻11節)」です。
 第1巻では、まずキケロー(プラトンと違ってキケローの対話篇にはキケロー自身が出てきます)がエピクロス派の哲学の全体(自然学、論理学、倫理学)について批判を行います。続いてそれを受ける形で、エピクロス派のトルクワートゥスが自説の擁護を行うのですが、その擁護の際に論点が対話篇の主題である「善と悪の究極」に絞り込まれます。トルクワートゥスは善と悪の究極とは、「快楽」と「苦痛」であるとし、それを論証しようと長々と述べ立てます。彼の話が終わったところで第1巻は幕を閉じるというわけです。