ノルデン

 ノルデン*1といえば、西洋古典学に興味がある人ならば大抵は知っていると思います。彼が書いたアエネーイス第6歌への注釈書は、それを引用していないラテン文学に関する注釈書がめずらしいといえるほどよく引用されます。

Vergilius Maro, Aeneis Buch VI

Vergilius Maro, Aeneis Buch VI

 要するに現代の古典学そのものの基礎をつくった注釈書なんですけど(というかおよそ注釈書というものの基礎を築いたともいるかも)、今日話していた古典の先生は、学生時代に久保正彰氏から「○○君、僕が君に指導できることなんかなにもない。でもね、ノルデンを読みなさい」と言われたそうです。。。

 ちょっとネットで調べるとこのノルデンという人、24歳で私講師になって、25歳でシュトラースブルクの教授になってます(1893年)。そのあと27歳でグライフスヴァルト大学の教授。30歳でブレスラウ大学の教授(当時のブレスラウはドイツ領)。38歳でベルリン大学教授になっています(1906年)。そして59歳でベルリン大学の学長に就任しています(1927年)。

 こうみると順風満帆すぎる学者人生です。とはいえ、彼はユダヤ人だったので、1938年には学会を追放されてしまいました。41年に死んでいるので、結局復帰することはないままだったようですね。

 ノルデンに関しては研究書(論文集)が出ているようです。

Eduard Norden (1868 - 1941). Ein deutscher Gelehrter juedischer Herkunft

Eduard Norden (1868 - 1941). Ein deutscher Gelehrter juedischer Herkunft

*1:Eduard Norden 1868-1941