フィロポノス

 ギリシア人註釈家つながりでいうと,フィロポノスというのは謎の人物です.アレクサンドロスはたくさん研究があって,だいたいのところは理解できます.しかしフィロポノスは残された著作量からすると研究の蓄積が少なすぎる気がします.全体像が把握できません.

ここの Secondary Sources やたら少ないですよね.Sorabji が編集した論文集が今のところの基本書なのでしょうけど,あれはあくまで出発点にすぎません.新プラトン主義の伝統を背景にしたキリスト教徒の古代アリストテレス註解者というこの人物について総合的なモノグラフが出る日は来るのでしょうか.

 シンプリキオスもいろいろ手薄ですけど,こちらは個人的に今の研究のからみで『自然学註解』を少し見るかも.