近藤、アレクサンドロスによる運命論批判

 アフロディシアスのアレクサンドロス(2世紀後半から3世紀前半)の運命論批判を扱った論文です。大学内部で Cinii を使ってダウンロードしました。

 アレクサンドロスは、人間はおのれの性向からも自由に、善きことも悪しきこともできると主張します。一方、アリストテレスにとっては、性向のあり方にしたがってなされた行為こそが、まさに自由意志でなされた行為であるということになります。なぜなら人間の性向の形成もまた自由意志からなされるからです。このように、アレクサンドロスアリストテレスでは、各人の性向と自由意志の関係が逆転しています。

 というのがこの論文の大体の主旨だと思います。個人的には次のようなことを感じました。

  • 注6で引かれている Donini の論文に対して、本論文がどの程度新しいことを付け加えているかについての記述がほしい。特に「思案」をめぐる論述がどの程度独自のものなのかは非常に気になる。
  • 最終段落は哲学以外の2次文献にまで手を広げて調べれば、もう少し深い形で論じられる気がする。