混交研究その4

  • Girolamo Cardano, De subtilitate, ed. Elio Nenci, vol. 1 (Milan: FrancoAngeli, 2004, bk. 4, pp. 425-426, 442-445, 449-451.

 今日はカルダーノの『精妙さについて』での混交についての議論を調べました。うむむ、これは難しいです。

 主張自体は単純です。

 ワインと水を混ぜるとcrasisと呼ばれる混合物が生じる。この中では元のワインと水の形相は残存している。なぜなら両者を分離することが可能だから。

 他方、鉱物、植物、動物のような正真正銘の混交物(mixta)は、その物体中で最も優勢である元素の形相を有している。また混交物が生じるためには天の熱が土と水を混ぜなければならない。この熱は魂と考えることができる。そのため鉱物、植物、動物のすべては魂を持つ生き物と考えなければならない。

 たったこれだけのことですけど、かなり気ままに進んでいると思われる論述の展開を読み取ったり、別の場所で論じられていることとの整合性を考え出すとキリがありません。

 ただスカリゲルを理解する上では助けになる点がいくつかありました。たとえばスカリゲルは混交物中では、そこで最も優勢な元素の形相が発現するという学説をアヴェロエス主義者に帰して、かなり長々と批判します。この批判はその場の文脈からはかなり外れているように思えたのですけど、カルダーノが支持していた意見だということが分かると納得できます。スカリゲルはカルダーノを批判するために本を書いたのですから。