プラトンについて次の二つの論文を読みました。
藤沢 令夫 『パイドン』における自然哲学への出発とイデア原因論:反プラトン的解釈の徹底追及を兼ねて
西洋古典学研究.44 1-25 1996 (ISSN:04479114)
藤沢 令夫 いま「哲学」のギリシア的内実を考える
西洋古典学研究.42 1-24 1994 (ISSN:04479114)
いや面白い。最初の論文では、快刀乱麻を断つという感じで他の研究者の学説がつぎつぎと論破されていきます。ブラストスとかいう(プラトン研究者の間ではちょっとだけ)有名な人も。
二本目の論文も、プラトンに関する部分はすばらしい。多分プラトン本人よりも面白いです♪
ただこんな記述がありました。
近世初頭の自然哲学者たちが直接相対したのが、プラトンの宇宙増であるよりも、アリストテレス的・中世的宇宙増であったことは、このような機械論的な宇宙像への移行もしくは逆行を、容易ならしめたように思われる。(中略)宇宙を超越する不動の動者としてのアリストテレスの神は、トマス・アクィナスによって、宇宙を配慮する創造主としての神に修正されたが、これは、宇宙そのものに滲透する<プシュケー>を動の根源とするプラトン的な(または本来のギリシア的な)考えよりも、精巧な機械としての宇宙の創造者=神という考え(いわゆるChristian origin of science)に、はるかに親近的である。
これはあやしい。。。