ホイッグ史観(ウィッグ史観)という言葉があって、英語ではWhiggismと書きます。
この言葉は元来はイギリス史の概念でした。
イギリスは昔から今に至るまで二大政党制をやっています。今の自由党にあたる政党は、昔はホイッグ党という名前がついていました。このホイッグ党と対立していた政党はトーリー党といい、これは今の保守党の前身にあたります*1。
さて、この二つの政党ですが、ホイッグ党は議会制の、トーリー党は王権の優位を主張していました。いろいろあったのですが(なんだそりゃ)最終的にはホイッグ党の主張が勝利することになりました。
で、その勝利の後が問題です。ホイッグ党の主張が勝利を収めると、それまでのイギリス憲政史を、最終的にホイッグ党の主張の実現へと向かって進む歴史として叙述するということが行われました。
イギリスの歴史家ハーバート・バターフィールド(1900-1979)はそのような歴史の見方を「ホイッグ史観」として批判しました。
The Whig Interpretation of History
- 作者: Herbert Butterfield
- 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc
- 発売日: 1965/09/01
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BN04680514
一時期はこの言葉が、自分の歴史観と相容れない立場の人間に対して無差別に用いられるようになっていました。その反省からか現在ではあまり用いられないようです。代わりの言葉としてpresent-centered「現在中心史観」という言葉が提案されていたこともあったようです。ただ、これは「ウィッグ史観」とは微妙に意味をことにするようにも思えます。