共観福音書

福音書共観表

福音書共観表

 これも手に取ってみてみました。出版社による紹介は

共観福音書(マルコ,マタイ,ルカ)の対応関係と異同が一目でわかるよう,並行を示す3段の組みと色分けによって示す.ヨハネトマス福音書の関係箇所も随所に挿入し,メッセージの立体的な再構成を可能にした.5つの福音書を語句・成句単位で精密に対照し,幻の原資料を浮かび上がらせる,岩波版日本語訳に基づくはじめての試み.

です。でもこれじゃ何のことか分からないのでちょっと(自分の勉強もかねて)説明します。

 キリスト教の正典に新約聖書というものがあります。この新約聖書には福音書という文書が4つくっついています。
 これら福音書は、おおざっぱにいってイエスの誕生から死刑、そして復活までを時系列順に書いていったものです。
 四つの福音書マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネです。このうちマタイ福音書の著者と、ルカ福音書の著者はマルコ福音書を手元において、執筆しています(というわけでマルコがいちばん古い)。

マルコ→マタイ、ルカ

 さらにマタイとルカは、マルコ福音書とは別の、しかし両者に共通する史料を手元においていたと言われています(Q史料という)。

Q史料→マタイ、ルカ

 ごちゃごちゃしていますが、要するにマタイ、マルコ、ルカの三つの福音書の間には、何らかの形で依存関係があるということです。よって、三つの福音書には、並行記事といわれるそっくりな記述が登場します。

 こういう並行記事などを、同じページにならべて比較しやすくしてくれたのが、福音書共観表です。

 今回発売されたのは日本語版ですが、ギリシア語版が編者の佐藤研氏のホームページで公開されています(新約聖書ギリシア語で書かれています)。

http://www.rikkyo.ne.jp/~msato/sub3jp.html

ここの「ギリシャ語彩色共観表 ーー 最終更新日: 2005.9.21.」というところから、PDFファイルで見ることができます。
 日本語版もギリシア語版も色がいろいろついていて、とてもきれいです。今度新潟に引越しする友達が、新約聖書学をやっているような気がしないでもないので、その人に買ってもらうことにします。