リプシウス

 そんな東洋大学ですが、その図書館でユストゥス・リプシウスの『不動心について』、『ストア哲学の概要』、『ストア派の自然学』をコピーしてきました。300枚近くコピーしたと思います…。もうコピーマシーンになりました。

 実務的な面から述べていくと、リプリント自体がけっこうかすれていてあまり読みやすくはありませんでした。しかもサイズが小さいので非常に読みにくい。
 コピーの際にはいちおう1.4 倍に拡大しました(そのせいで用紙の大きさをB4にせざるをえませんでした…)。これでかなり読みやすくなりましたが、かすれていて推測で文字を補わなければならないところがしばしばあります。

 『ストア派の自然学』についてはこの全集版の最終巻(Bd. 4のT. 2です)の823ページから1006ページに収録されています。なお、上記『不動心について』、『ストア哲学の概要』も同じ巻に含まれているので、さしあたり哲学関係に関心のある人はこの巻を取り寄せればよいと思います。ラテン語は読みやすいです。セネカを真似しているという話ですけど、セネカはこんなに分かりやすくないと思います…。

 内容はかなり…。かなり飛んでいっている感じです。まだ第1巻の7節までしか読めていないのですけど、かなり複雑な読解をしなければならないかもしれません。
 Hさんが

ちょっと紐解いてみれば分かりますが、一口にストア派と言っても、邦訳も終わったばかりのドイツの古典学者アルニムが編んだ『古代ストア派哲学』に代表されるようなものとは、大きく違うものがリプシウスの著作には展開されています。僕に言わせれば、これはルネサンスプラトン主義に大きく感染したもの以外の何ものでもありません。

 と書かれていますが、たしかにプラトン主義が入ってきています。まだしっかりと確認してはいませんが、新プラトン主義の論考を、ストア主義の人の著作として引用したりしています。あとヘルメス・トリスメギストスの哲学は完全にモーセの哲学と一致すると言って好んでヘルメス文書を引用しています。極めつけは、似ているという理由でストア主義の解説のところにピュタゴラス派の意見を持ってきたり。。。なんていうかやりたい放題です。
 ただ僕はもとのストア派の考えをあまり知らないので、いろいろと苦労しそうです。たとえば「運命の種子が世界に隠されている」とかストア派にありましたっけ?とにかくこの人をやるにはストア派の自然哲学を一通り勉強しないといけないかも…。
 ガッサンディとの関係ですけど、今のところそれほどは感じません。雰囲気は似ていますが。両方とも偽プルタルコスの『哲学者たちの自然学説誌』を愛用しています。この本、やっぱり最強のハンドブックだったのですね。きっとみんな使っていたのだと思います。
 とにかくまじめに取り組めばこの本だけで2年くらいはあっという間に過ぎてしまいそうです。
 目次の紹介などは明日以降に…。眠い(涙)。