ベークマンについての論文

  • 本間栄男、「イサーク・ベークマンと"自然学的・数学的哲学”」、『科学史研究』、II, 33 (1994), 76-84.

 また、物体の下へ動く原因をベークマンはかなり初期から粒子論的に考えている。

 重い物体が下へ動く原因は上の部分にある微細物体が上から一様に下に向かって流れていて、それに圧されるためである。この物体は微細であって、物体にある隙間のあいだを通り抜ける。

 物体の隙間の多少、つまり物体の密着度によって、より密着しているものは「重い」物体であり、より隙間の多い物体は「軽い」。それは、物体の重さはその密度に比例することを意味する。これが引力の原因なのである。

 この微細物体は、後に「火の粒子」と呼ばれることになる。(78頁。強調、改行引用者。)

 この他にも機械論と数学との関係について、興味深い記述がある。これは修論で引くべき論文でした。反省。

〔追記〕

 ちなみに、重力の定義に関してはデカルトもベークマンと同じ立場です。

 ところが、私の考えでは、重さとは他の物体が微細物質によって実際に地球の中心の方へ押されるということ以外のものではありません*1

*1:メルセンヌ宛書簡。1640年1月20日。AT, 3:9-10.