ひきこもりの社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)
- 作者: 井出草平
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 単行本
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ひきこもりという現象が広まっている原因を考察する著作。すでにchikiさんやmatsuiismさんによる詳しい紹介・考察記事が出ているので、井出氏の主張の中身について特に私の方から補足することはないです。
井出氏ははてなでブログを開設されているのですね。
興味深いのは井出氏のひきこもり論は学校論でもあるという点です。ひきこもりは学校にみなが通うことが当たり前と考えられるようになってはじめて生じた現象で、この問題を解決するためには学校のありかたを変える必要がある。
「ひきこもり」は「70年代に現れた現代的現象」である。70年代に起こった社会変動、特に「学校」の社会的機能の変化が、「ひきこもり」の発生と密接な繋がりを持っていると思われる。(202頁)
ひきこもりという現象が広まった原因として、学校のあり方の変化があるという井出氏の議論は非常に説得的です。はてな内部で言えば、id:kaikai00さんの主張とも響きあうところがあるのではないでしょうか。
もちろん学校以外の要因も考えなくてはならず、これから井出氏がそれらの要因をどう扱っていくのかが楽しみです(取り組みの方向性は本書の最後の方に示唆されています)。
ええっととにかく井出氏の『ひきこもりの社会学』はいい本なので読みましょうということで。
それと本書はひきこもりの分析として興味深いだけでなく、研究書のお手本のような構成になっているとも思うんですね。